88L砲と120ミリ盤外砲の対決
 
 今日のASLは、51本目という早い頃にやったことのある、J33 The Slaughterhouseです。
 プレイしたシナリオが400本を超えた際に、戦力評価で強力な砲や盤外砲を加重評価することにしました。また同時に、しばらく前から採用している攻撃側の最大火力が防御側に劣る場合の低火力市街戦補正を、120ミリ以上の盤外砲は打ち消せるのではないかとも考えました。そして今までのデータを精査すると、このシナリオはこれら全てを含んでおり、修正の妥当性をテストするのに最適でした。
 このシナリオは以前の評価方法だと、防御側のドイツがやや有利程度でした。しかしドイツの88L砲とソ連の120ミリ盤外砲をどちらも2個分に数える新しい評価法では、防御側の砲がより大きく影響するため、ソ連の予想勝率は17%しかなくなります。しかももし120ミリ盤外砲が低火力市街戦を打ち消せないなら、ソ連の勝率はマイナス8%の必敗です。
 最初にやった時は、盤外砲を動かしてFFEに変える時、ずれた先で観測員からのLOSと確認された敵のチェックをしていませんでした。そのため本来はできないFFEで、ソ連は最後に逆転勝ちしていましたが、本当ならドイツが勝っており、当時の結果は検証になりません。
 そこで当時に比べて(あるいは誰と比べても)、今の私たちの戦術はより洗練されている筈なので、再度プレイしてこの評価方法の修正と予想勝率が正しいか精密な検証をします。子供がドイツ、私がソ連です。


 120ミリ盤外砲が強力なため、ドイツは2つの勝利条件工場に戦力を分け、さらに機関銃のいくつかを奥の3階建て建物に置いています。こうして戦力分散を強いることができるだけでも、120ミリ盤外砲には価値があります。
 それに対しソ連軍が工場攻撃の足掛かりにできる建物群は、2つの工場の間にしかありません。そのためソ連軍は中央付近の建物沿いに進みます。またドイツが正面から楽々盤外砲に撃たせるようなことをするとも思えないので、ソ連無線機は特別ルールで許された隠匿を使わず、前線部隊に同行させます。
 すると内側から来ることはやはりドイツも予想していて、鉄条網が中央から左の工場へ進む所に並べてあります。そして鉄条網を迂回して真ん中から進もうとしても、工場の裏手と3階建て建物から機関銃が狙っていて、これを越えるのは容易ではありません。
 そこでひとまずソ連は、88L砲を警戒して後ろに置いた戦車で、L砲の利点を生かした長距離地域目標攻撃を建物3階に行いました。そして歩兵は右側の部隊が建物沿いに進みますが、左側にいる9−2指揮官+(6−2−8+LMG)×3の前線主力や火爆隊は、どうやって鉄条網を越えたらいいのか。

 第2ターン、ソ連は戦車の長距離砲撃で3階の中機関銃1つを混乱させましたが、ドイツは予備の半個分隊を置いていて、すぐに引き継いで射撃を再開できます。そしてソ連はISU−122を1両前に進め、煙幕で主力を渡らせる準備をしました。するとこれが見える林に88L砲がいて、ターン後半にこのISUは炎上。
 88L砲と鉄条網の組み合わせが非常に良い配置です。砲は目の前に並ぶ鉄条網を全て撃てる位置で、ソ連歩兵が無理やり通り抜けるのを阻止する一方、鉄条網のせいでソ連は歩兵を並べて88Lを撃つのも難しい。また右側に迂回しようとしても、機関銃に加えて88L砲まで撃って来るため、戦車で支援することもできない。しかもIFE20火力の対空砲も右奥から狙っていて、鉄条網を避けて右に渡るなど到底できそうに見えません。
 しかしソ連には僅かな望みが。右側から進んでいた無線機が、ここで88L砲を狙ってSRを落とし始めます。不幸中の幸いで炎上したISUが妨害して、88Lから隠蔽無線機に当てられることもありません。
 さらに右側の建物群に進んだソ連先鋒は、ドイツ20L(20)対空砲を混乱させており、少し光が見えてきたか?しかしソ連はISUがもう1両、狙撃兵によってリコールしてしまい、まだまだ夜明けは遠い。

 第3ターン、残念ながらソ連は無線接続に失敗し、ドイツはその間に隠蔽された予備操作班が88L砲を拾って、隠蔽を取り戻しました。(砲は自力で動けないため、ユニットではありません。すると単独では隠蔽状態を持てないので、隠蔽状態はそれを所有する歩兵の状態によって決まると考えられます。)これによってソ連が盤外砲で88L砲を撃つのは、かなり難しくなります。
 ただその間にソ連前線主力は燃えた戦車に隠れて右に迂回し、一部は混乱・ピンになりながらも、右側の建物群にたどり着きました。また左側ではソ連機関銃スタックがシフトし、道路を通して88Lを撃とうとしましたが、そこはLOSがありませんでした。


 第4ターン、ソ連盤外砲は既に赤が1枚出ていて、追加チット引きには強い状態になっているので、88Lと工場の隙間に動かして強引に攪乱砲撃を落としてみます。すると運よく2枚とも黒を引き、ずれも落とせる位置になって、ついに難敵88L砲を混乱させることに成功しました。これがもし安直に無線機を中央手前の高層建物に置いていたら、盤外砲は死角にある88L砲を撃てず、ソ連は詰んでいたところです。
 さらに右側の工場へはソ連戦車も到達し、ソ連半個分隊はドイツ徴募兵半個分隊に格闘戦を仕掛けましたが、これはソ連が敗北。しかしそれでもソ連10−2スタックは、迂回を終えて左の工場に近付き、暁光は明るくなりつつある。

 第5ターン、ソ連今度はFFEを通常に切り替えて再度同じ場所に落とし、工場後ろ側にいた少数のドイツ軍を排除しました。そして引き続き3階からのドイツ機関銃の射撃に悩まされながら、ソ連歩兵は戦車に助けられて、両方の工場に突っ込んで行きます。右手はこの時期の例外でコミサールがいるので、混乱してもすぐ戻ってくるのが心強い。その結果ソ連は両方の建物に地歩を築き、後はドイツ軍の強力な反撃に耐えられれば。
 しかし左の工場に突入したのが10−2指揮官とエリートとは言え、ドイツは機関銃火力でソ連を上回り8−3−8までいるので、隠蔽も無く目の前に出て耐え切るのは難しい。結局ソ連は指揮官がピンで分隊は全員混乱し、皆工場から叩き出されて鉄条網の林に追い立てられました。
 右の工場では突入部隊が生き残ったものの、ソ連が両方取るのはもうほとんど無理でしょう。しかしそれでもできることはやってみる。

 第6ターン、左の工場内のドイツ軍にだけ大当たりすることに賭けて、ソ連は味方巻き添え覚悟の無謀な攪乱盤外砲を撃ちます。しかしやはり大した損害は与えられず、味方の損害の方が多い始末。それならせめて2両の戦車で右の工場へ突入し、オーヴァーランを掛けてやる!だがこれもT−34はその直前にボグ。機関銃が弱いISU−122でのオーヴァーランは意味が無いので、これもドイツ兵の手前で止まります。パンツァーファウストが外れまくったのは幸い。
 そしてターン後半、ISUはパンツァーファウストにやられたものの、T−34の砲撃でドイツ兵は叩き出され、ついに右の建物は陥落しました。しかし左の工場では、ソ連機関銃スタックまでもが撃ち倒され、もはや攻撃は全く不可能になったので、ソ連の負けです。



 ドイツの88L砲と歩兵火力が強過ぎて、ソ連は最初全く進めそうにありませんでした。しかし攪乱でも相当な威力の120ミリ盤外砲が、運良く88L砲を無力化して道を切り開き、右の工場は占領、左の工場も少しだけ可能性がある所まで行けました。これは88L砲も120ミリ盤外砲も2倍に数えて良いのと同時に、120ミリ盤外砲が低火力市街戦を打ち消せることを示しています。
 そしてソ連の予想勝率17%も感覚として妥当だと思われ、この評価方法の正確さを裏付けています。もしも120ミリ盤外砲が無ければ(あるいは撃たない内に無力化していれば)、盤外砲自体の戦力が減るだけでなく、低火力市街戦まで適用されて、ソ連の予想勝率はマイナス31%の圧倒的絶望になっているところです。

 
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