甘美なジャングルへの危険な入口
 
 INBさんとのVASSAL対戦で、今回は初の太平洋戦J116 Brigade Hill ブリゲード・ヒル。ニューギニアのココダ小道の中間点ブリゲード・ヒルで、オーストラリア軍は日本軍に包囲され、援軍と共に強行突破を試みた。オーストラリアは6.5ターンの終了時に、4つの丘の頂上の内3つを支配していたら勝利です。浅いジャングルの太平洋地形で、沼はジャングルになり、小川は乾いています。
 守る日本は、一線級7個分隊と機関銃中2軽3擲弾筒2を、右の3つの丘に初期配置し、入れる最小限の狐穴を受け取れます。そして第3ターンには、下から1個分隊と軽機関銃1が入って来ます。
 攻めるオーストラリアは、エリート6個一線級6個分隊と機関銃中1軽3軽迫撃砲2を、左側に初期配置します。また左側の狭い丘の頂上には2Sの狐穴を置きます。そして第3ターンには右から、エリート1個一線級2個分隊と軽機関銃1が助けに来ます。
 戦力評価では、ジャングル補正で攻撃側が0.75倍されて、オーストラリアの予想勝率39%と、まあまあのバランスです。INBさんがオーストラリア、私が日本です。


 とろけるように熱いジャングルでは、何が起きてもおかしくない。集中集中言ってた蒼き臥竜も、ついに集中決戦戦術を諦めたようだ。日本軍は丘のあちこちにばらけて置かれていて、まともに撃ち合う気は感じられない。
 しかしそれも無理はない。丘の上はほとんどが裸丘で、狐穴をもらえるとは言え、隠蔽などろくに置けない。そんな所で先撃ちされたら、ただでは済まないからな。しかも日本が戦列を組んで撃ち返そうにも、丘の中腹の真ん中にポツンとあるジャングルが、射撃グループの邪魔をする。戦列も形無しだ。
 それであれば話は決まった。こちらの丘から機関銃と迫撃砲で、丘の前面に立ちふさがる奴らを蹴散らし、他の全員が一気に丘へ迫る。
 よし撃て中機関銃!故障。いきなり熱にやられたか。なら迫撃砲だ。今度は命中。ダミーだったか。では予定通り前進だ。さあこの大軍の前進を止められるのか?

 日本は防御射撃で、迫撃砲をオーストラリア側の丘に撃ち始める。一発目命中維持したが効果なし。二発目命中維持したが不発。三発目命中維持したが効果なし。まあミニ迫撃砲なんてこんなものだ。
 四発目命中維持せず。しかしIFTで蛇の目。ぶっっ!オーストラリアは指揮官と分隊が混乱。さらに日本は2つ目の迫撃砲が撃ったが、これは外れて終わった。ちょっと予想外の災難だったが、これで日本軍に撃てるのはいなくなったし、問題ないな。
 ところが大丘の上の奥のジャングルに、中機関銃2丁と9−1が現れて撃ち始めた。なっ?結果はNMCに過ぎなかったが、イギリスの8−1指揮官は失敗して死亡。さらにLLMCで2つの分隊が混乱と損耗し、オーストラリアは丘の上の戦力を失った。
 日本は決戦を諦めたんじゃなかったのか。丘の射撃拠点はエリートにしておくべきだった。少し後悔しながら、オーストラリアは突撃してターンを終えた。


 丘の上で撃たれる心配が無くなった今、日本軍は動き放題だ。見えない所で隠ぺいを付けていた部隊が顔を出し、大きな丘では兵を並べる。結局は集中決戦戦術の戦列を作られてしまった。
 これでオーストラリア軍は、丘の上に登ると隠ぺいを失い、TEM無し隣接倍火力射撃を受ける。そんなの耐えられっこない。次ターンに残る1基の迫撃砲が煙幕を持っていなかったら、投了だな。

 第2ターン。さあ迫撃砲、煙を吐け!よし、2か所置けた。オーストラリアはまだ戦える。お前たち、遮二無二進め。リスクなど恐れるな。今を逃せば次は無い!
 日本は防御射撃を上のスタックに集中した。機関銃が連射し、隣接する2個の軽機関銃分隊が撃って、オーストラリアはエリート分隊が除去され、半個分隊は混乱した。
 しかし日本は無傷のオーストラリアスタックに隣接している方を、どう助けるつもりなのか。それは半個分隊に分かれて、自己混乱するつもりだった。ところがこうなってみると、混乱していない確認された敵ユニットがもういない。逃げ損ねたな。
 これはチャンスだ。2個分隊とも送って必ず仕留める!全ての兵が進んでその後白兵戦。よし、一方的に全滅させた。見よ!これがオーストラリアの魂だ。
 しかし日本ターンになると、彼らを狙った擲弾筒が、いきなり致命的命中となった上に、IFTでも蛇の目。なんじゃそりゃ。エリート2個分隊がいきなり消失してしまってはもう無理、オーストラリア投了。


注 勝手にINBさんの視点を想像して書きました。


 さてこれを見て「やっぱり小さいシナリオは運だな」と思った方。確かに小さなジャングル戦は戦術的に難しい部分が多く、戦力評価の勝率予想が狂いやすいというのはあります。しかしそれでも運だけで決まる訳ではなく、解りにくいながらも可能な限り良い作戦を考えていくことが、勝利のために大切です。
 今回まず日本は最初に2つの大きな選択肢があります。中央の大丘で戦うか、後ろに下がって戦うか。ブログやアーカイヴのプレイ記録では、ほとんど後者か、前者にしても一時的なようです。確かに日本軍は隠蔽無しで先制射撃を受けるので、大丘ではあまり戦いたくない雰囲気です。(A12.12により、隠蔽地形でない所に、OBの隠蔽は置けません。)
 しかし大丘を手放すと、後ろの2つの丘は狭く、背後からも攻撃されます。オーストラリアが大火力を集めて大丘から撃ち、どちらか弱い方を攻めれば、日本が両方の丘を守り切るのは難しいと、私は判断しました。この重大な選択で、勝負は全く違ったものになるでしょう。

 そして大丘で戦うとしても、いかに布陣すれば最も有利に戦えるのか。最初から丘の上に戦列を作っても、オーストラリア側の丘を全力では撃てず、煙幕配置や先制射撃を受けると、丘の上を守る戦列は崩されてしまいます。
 そこでいろいろ考えて導き出した手が、オーストラリア側の丘の頂上を撃てる4つの隠蔽地形に、擲弾筒2か所、隠匿中機関銃スタック、ダミーをそれぞれ置くことでした。この最初の射撃戦が、勝敗に大きく響くでしょう。
 オーストラリアの先制射撃は、うまく行かなければ2連続の反撃を受けます。隠蔽の日本軍に先撃ちが効くとは限らず、効いたとしても混乱しない日本分隊は撃ち返せます。しかも日本は進入路を塞ぐ所にダミーを置いて、これを撃たせるようにしています。もちろん擲弾筒の威力は限られますが、防御射撃が効かなかった時は、次の準備射撃で煙幕を撃つこともできます。
 こうしてオーストラリアの頂上支援を断つことができれば、日本は今回のように大丘で戦列を作れます。支援の無い裸丘への攻撃は、戦力評価で攻撃側を0.5倍と評価しているように、かなり困難なものになります。煙幕無しではほぼ不可能、煙幕一発でも相当厳しいでしょう。

 そして互いに戦闘を見据えた作戦・布陣を終えれば、後の戦闘はどちらの布陣が優れていたかの結果発表であり、強烈そうに見えたサイの目も、実は優勢を作り終えた日本に、少しの華を添えたに過ぎません。ましてや移動をどうこうしてみたところで、既に勝っている布陣を覆せたりなどしません。射撃戦の勝敗とは単なる運では無く、様々な影響を考えたより良い布陣をして、最大限勝利の可能性を高めることなのです。
 このように今回のシナリオは、ジャングル戦としてもASLとしても、小さいながら高度で良くできています。また日本が開戦即決戦策を選ぶと、必然的にゲームは短時間で終わりやすくなりますが、長引かせたいがためにわざわざ不利な持久戦術を選ぶなどというのは、甘過ぎるプレイと言わざるを得ません。

 
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