キャリパー移植講座

ご注意:ブレーキは重要保安部品です。
      改造は自己責任で行って下さい。

                                  *印は、SCP10用に選定、作成したものです。

1. キャリパー選定のポイント


   1) 取り付けが簡単な移植キットがあるものを選ぶ。

   2) 上記がない場合、よく他車に移植されている物を探す。

   3) ブレーキパッドやOHキット等の消耗品が簡単に手に入る物を探す。


   * SCP10の場合、移植キットはありませんでしたので、FC3S(又はFD3S)のキャリパーを選びました。
     (FCキャリパーはAE86、EG6、NA6C等によく移植されていますし、消耗品も簡単に入手出来ます。)



2. ローター選定のポイント


   1) 他車の物を使用する際は、ハブボルトのPCDやセンターハブの径の同じものから探す。

   2) 移植するキャリパーのパッド有効面積やローター厚を考慮する。


   * 上記2点を考慮して選定したのが、NB6C(ロードスターNR−A)の270mmローターです。

   * SCP10とNB6CはPCD100mm、センターハブ径54mmで共通です、NB6CローターとFCローター
      のパッド有効面積や厚みはほぼ同じなのですが、ポン付けは出来ませんでした。



3. キャリパーブラケット作成のポイント


   1) インターネット、雑誌等に紹介されている移植キット(他車用でも構いません。)や移植方法などを参考にして
      取り付け方法を考える。(取り付け方法が一番重要です。)

   2) 取り付け方法が決まったら、薄い鉄板等を使って、実際に仮組して試行錯誤してみる。(ブラケット形状や
      センターずれ補正用のスペーサー寸法を決める際の目安になります。)

   3) 強度と用途のバランスを重視する。(使用する素材、ブラケット厚み、形状等)


   * 上記3点を考え、出来たのが下の写真の図面です。(初期の図面ですので素材や形状等は若干変更しています。)

   * 素材はSS400(一般構造用圧延鋼材)で厚みは12mmです。

   * センターずれ補正用スペーサーは外径25mm、内径12.5mm、厚み6.8mm、素材はSS400です


4. ブラケット素材について(参考文献 機械工学必携:三省堂刊)


   素材と言っても、現在JIS規格の材料だけを見ても、かなりの種類があり、用途も多種多様です。
   そこで、ブラケット材に使えそうなものをあげてみました。


   1) A7075材

     一般的には超超ジュラルミンと呼ばれる材料で、現有アルミニウム合金中、最高強度を持っており
     鉄のおよそ1/3の比重であることから、ブラケット素材には一番適した素材と考えます。
     しかし、非常に高価なので、お金に余裕のある人にはお勧めです。

   2) A2024材

     一般的には超ジュラルミンと呼ばれる材料です。
     ちなみにジュラルミンと呼ばれる材料は、A2017材です。
     どちらも、高価な材料ですので、これらを選ぶより、A7075材を選択した方が良いと思います。

   3) チタン合金

     チタン合金もいろいろあり、組成(Al、Mo、V、Cr、Mn等の比率)や熱処理の違いで、引張強度
     や耐力もさまざまですが、引張強度だけ見ても、A7075材より、明らかに優れています。
     しかし、一般的には入手困難な素材ですので、お金に余裕があり、入手できる方にはお勧めかも?

   4) SUS304材

     一般的に使用されるステンレス鋼で、通常の鉄材に比べ耐食、耐酸性に優れていますので、金属光沢
     を保ちたいと言う方には適していますが、アルミ合金と比較すれば重いのが難点です。
     一般的に使用される素材ですので、入手は容易です。

   5) S45C材

     機械構造用炭素鋼鋼材の一種で、機械設計されている人には馴染みのある素材です。
     高周波焼入部品にも使用され、比較的安価で、入手も容易です。

   6) SS400材

     一般構造用圧延材の一種で、これも機械設計されている人には馴染みのある素材です。
     流通量が豊富で入手も容易、安価ですので、お金に余裕のない方にはお勧めです。
     ちなみに引張強度は40kg/mm2あります。


次のページより、実際に作成した時の様子が記載してあります。

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