Love affair
きしむ、音がする。
カラダが。ベッドが。ココロが。
きしむ。
きしんで、壊れる。
その先になにがあるわけでもない。
それをわかっていて、なお。
天国を見たいのか。
地獄を見たいのか。
宇宙へ飛びたいのか。
地底へ落ちたいのか。
なにもわからないまま、それでも。
きしむ音を立てて、なにもかもが壊れるまで。
いつも。
アイツはいつも。
眩しいくらいの光を放っていた。
その光に誘われて堕ちた人間の数など知りようもない。
一人や二人ではなかっただろう。
けれど、身近なところにいる俺さえも堕としたことを、アイツはきっと知らない。
知らなかったはずだ。
俺がアイツに手を伸ばした、あの瞬間までは。
手を伸ばして、肌に触れた。
指を髪に絡めて、口唇を寄せた。
舌を伸ばして、耳朶を濡らした。
眼を合わせて、くちづけた。
そのすべてを、アイツは受け止めた。
振りほどかれると思ったのに。
下手をすれば殴られるかもしれないと思ったのに。
アイツはなにもしなかった。
なにもせずにただ、俺を受け入れた。
少し驚いたように見開かれた眼は、一瞬後には瞼に隠れた。
少し拒むように力がこもった腕は、一瞬後には俺の首に回された。
少し躊躇うように強張った舌先は、一瞬後には俺のそれを絡め取った。
アイツがなぜ、俺を受け入れるのか。
それを疑問に思わないはずがない。
それでも俺はアイツに堕ちてみせることを望んだ。
「オマエに堕ちたんだよ」
その一言を口にするより、その肌に溺れることを、選んだ。
きしむ音を立てて、堕ちていく。
俺が、アイツに?
それとも、二人ともに?
きしむ音を立てて、壊れていく。
堕ちたその先に。
壊れたその後に。
なにも残らないことを、俺たちは初めから、知っていた。