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災害時のカイトの活用について

全日本スポーツカイト協会 (東京都目黒区)

1.活動の経緯

全日本スポーツカイト協会(AJSKA)は、スポーツカイト競技会の公認と協力、及びスポーツカイトの普及促進を目的に設立されました。
私はAJSKAの新潟支部所属で、事務局をやっております。
この発表に至る経緯ですが、NPO地域交流センターの金田様が「災害で通信が途絶えた時の通信手段としてカイトを使えないか」とAJSKAのホームページに書き込まれたのが最初です。

私がそれにお答えしてから可能性の検討が始まり、条件が整えば可能であるという結論に至りました。
ですから、これを実行した例はまだ無いと思われます。

2.活動の内容

カイトの種類

凧は本来、木や竹などの骨組みを持ち、スポーツカイトもカーボンやグラスファイバーなどの骨が入っている。
しかし、中にはパラグライダーのように飛ぶ事で翼状形態になり、性能を発揮するフォイルカイトと呼ばれる物があり、災害現場で使用するカイトとしては最適と思う。

フォイルカイトのメリット、デメリット

(1)メリット

・骨が無いので、折りたたんで携帯する事もできる。
・骨が無いので、人に当たっても怪我をしにくく、カイト自体も壊れにくい。
・生地がナイロンなので、水に濡れても大丈夫。

(2)デメリット

・風がなければ使用できない。
・風があっても、風向きや障害物(建物、樹木など)で使用を制限される。
・火に弱いので、火災のある所では使用を制限される。

カイトの使用例

災害現場、遭難現場でカイトを使用する例として、次の様な事が考えられる。

(1)救助サインとして使用

・誰でも簡単に扱える、1本ラインのカイトが適当と思われる。
・自分の存在をアピールするためのアイテム。
・災害現場でカイトが揚っている事自体が、救助サイン的な意味合いがある。

問題点

・カイトに「SOS」などの文字を書いた垂れ幕を付けて揚げる事も考えられるが、遠くからでは読めないし、近くでも風に揺れる垂れ幕に書かれた文字は読みにくい。
対策→救助サイン用のカイトのデザインを決め、カイトだけでもそれと判るようにする。
対策→垂れ幕ではなく、反射板や笛を付ければ遠くでも確認できる。
・夜ではカイトが確認できない。
対策→サイリュームやルミカライトなど長時間対応の発光物を付ければよい。

(2)運搬用のガイドロープ

・飛行範囲が広く、目的の場所へ確実に着地できるので、2本ラインのカイトが適当と思われる。
・川の対岸や中州、建物の窓や屋上にロープを渡し、ロープを伝って人や物を移動させる。
・ロープや他の資材もあるので、携帯性はいらない。

問題点

・目的の場所に着地できるようになるには、練習が必要。
対策→1日程度練習すれば大丈夫。

3.活動結果と課題

先にも述べたが、まだ実行されていないので具体的な効果や問題点は不明。



左:2本ラインのカイト  右:1本ラインのカイト 2本ラインのカイトを広げたところ
カイトを飛ばし、相手に捕まえてもらう 今回は滑車を使う
凧糸の端に機材とロープを結ぶ 相手に凧糸を引いてもらう
点線の範囲内に相手がいれば、荷物を渡す事ができる。 風の強さやラインの長さで範囲が変わる。
ロープを固定してもらう 滑車でつないだロープの端に荷物を結ぶ
この中のカイトは全てアメリカ製です。
‘レスキューカイト’以外は日本でも販売されています。

反射板を付けると不安定になりなるので、更なる検討が必要です。

ルミカライトは12時間発光します。
ロープを引き、荷物を相手に渡す
救助サインとしての1本ラインカイト 反射板を付けて飛ばす
ルミカライトを使うと、こんな感じ 海外では既に販売されている




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