Day 4(Tuesday, Oct. 5th, 2004)
"Vermont"ってのは"Verte(Green)"な"Mont(Mountain)"って意味なんだってさ!
- Cornish 第1日目 -
いつも通り7時に起きてシャワーを浴び支度した。荷物はおおかた昨夜のうちにパックしておいたので簡単に済んだ。チケットは初日にピック・アップしてたけど初めてのAmtrakだから、9時半過ぎにホテルをチェック・アウトして向いのペン駅へ向かった。
今日は、New Hampshire州(NH)Cornish(コーニッシュ)へ移動。初日に入手したAmtrakのチケットを使い、NYPからVermont州(VT)Windsor-Mt. Ascutney(WNM:ウインザー駅)まで列車の旅だ。使用するVermonterって路線は、Washington, D.C.とカナダとの国境に近いSt.Albans間のおよそ600mile(960km)を13時間余りで連絡しており、New England(ニュー・イングランド)地方*1を縦貫する際に四季折々の景色が楽しめるんだそうで、“バーモント”ってのは“緑”の“山”って意味のように、紅葉シーズンは特に人気とのこと。駅名に付いているMt. Ascutneyってのは、東部エグゼクティブ達に人気のリゾート地だと会社が契約しているD.C.の顧問弁護士が言っていたが、冬はスキー&スパが有名だそうだから米国の越後湯沢って感じか(笑)。僕は、NYPからWNMまでの約250mileを6時間半かけて北上するルートを予約*2したが、ビジネス・シートの追加を含め$86だった。
平日朝の出勤時間帯の人混みに逆らって進み、7番街側の入口より200m程直進してから案内板に従い進み、MSGの真下あたりかと思える地点まで来ると、案内所と待合室が見つかった。そこは結構広くてイスが用意されており、かなりの人達が発着を案内する巨大な電光掲示板を見上げながら新聞や雑誌なんかを広げており、僕も“Number Train”で「56 VERMONTER」を探して見たが、「ON TIME(予定通り)」以外まだ“Track(ホーム)”は表示されていなかった。
つまらないので構内を探検することにして待合室を出た。前方には更なる地下へ降りる階段への入口が多数見られ、それこそがプラット・フォームへ通じる改札であり、機械はないけど手前では駅員がチケットを確認していた。まだ余裕ありそうなので、周囲に連なるショップでコーヒーやらチョコやら雑誌やらを買い込み、一旦地上へ出てNYCを見納めすることにした。8番街側へ出ると、目前には中央郵便局があり、今日も良い天気になりそうな空だった。
30分前になったので地下へ戻るが、依然掲示板にはホームが表示されず、15分前に「5分遅れ」の表示が出た。実は“Status”を見た時、「0:05 LATE」ってのは「午後0時5分発(約1時間遅れ)」になったのかとビビッタのだが、良く見たら「5分遅れ」だと分かりホッとしたね(笑)。この時点でもホームはまだ空白で不明だった。
まあそんなもんかと思っていると、11時にアナウンスがあり「7番西(7W)ホームへ集合」とか言われ、乗客が移動したのでそれに付いて行き、階段を下りると列車が止まっていた。どの車両に乗るのか分からずウロウロしていたら係員がいたので尋ねると、ビジネス・シートは、先頭(本当は機動車の次だから2両目)だと教えてくれたが、そこには「Cafe」と記されていた。これでは分からないだろう、Amtrakよ(笑)。
そんなこんなでバタバタと乗り込むと、列車は何事もなかったかのようにペン駅を定刻の10分遅れで発車した。さよならニューヨーク。クライスラー・ビルが見えた。「Cafe」と言うだけあって車両の中央にカウンターがあり係員がいる。その前方の客室がビジネス・シートらしく、右側1席、左側2席で6列のゆったりタイプ(「Coach」と呼ばれる通常の客車は2列2列)だ。座席は早い者順で空いている処に座り、前後間隔は充分でテーブルやリクライニングも付いていた。写真中に写っているのは、乗車前のペン駅にて$3.95で購入の『THE NEW YORKER』の最新号(OCT. II, 2004)と旅の記録を付けていた黒革の手帳だ。客室内は、右側は半分、左側は8割の乗客だった。
一様時刻表はあるのだが(当然か)、アバウトだと聞いていたのでそれほどショックではないけど、JRに慣れている日本人にはチト不安である。実際の時刻と時刻表の予定(カッコ)を書いておこう。時刻表には、大きな駅には発着の時間が併記されているが、その他の駅は時間しか書いてないので、到着時間としてタイム・チェックしてみた。
Stamford, CT 11:46(11:48)着。ちゃんとしたフツーの駅だった。乗降客もなく、1分少々で出発。
Bridgeport, CT 12:10(12:12)着。左斜め前のおじさんはパソコンを始めた。
New Haven, CT 12:30(12:36)着、12:56(12:56)発。ここで、機動車が電気からディーゼルへ代わった。
Meriden, CT 13:17(13:16)着。Meriden付近の住宅地である。
Berlin, CT 13:26(13:25)着。ドイツの首都と同じ名前だ。米国には他にもLondonなんて街もあり、結構面白い。
乗ってからず〜っと天井の電光掲示板の表示「57」が気になっていた。列車番号を示していると思うんだけど、「57」ってのは、同じ路線の土・日しかも南行きの列車番号なんだよな。この掲示板、日本の新幹線のようにニュースや到着駅とかを表示するのかと思って見ていたけど、何も出なかった(笑)。荷物棚の通路側の縁には、この座席の乗客の降りる駅をメモした紙を係員が挟んでくれるので、人がいなくてもこの紙がある席は座っちゃあダメだ。
Hartford, CT 13:40(13:45)着。結構大きな建物が見える割に駅舎は貧弱だった。
Springfield, MA 14:15(14:20)着、14:30(14:30)発。Springfield手前で綺麗な湖?に遭遇。ここで5人の乗客が降りたが新たな乗客はなく、一気に車内が閑散とした。
駅舎の反対側は、メンテナンス用の施設らしいのだが、かなり荒れ果てた外観の殺風景な場所だった。大きな街のようなのに、鉄道の駅はこんな感じで、やっぱり車社会なのかと思ってしまった。
カウンターに行き、昼食としてRed Chile ChickenとGreen Mountain Coffeeを$7.50で購入。車内はこんな感じ。
噂通りに紅葉が綺麗だった。15:10にSteaming Tender Antique'sって処で停車したら、逆進して我々の車両は最後尾となった。単線個所が多く、こんなスイッチ・バック式個所もある当たり、やっぱり米国での列車は肩身が狭い。
Amherst, MA 15:45(15:35)着。発車すると勢いが増し結構スピードが出ている感じだ。
Brattleboro, VT 16:40(16:25)着。この辺まで来るともう住宅は見えない。木々の隙間からThe Connecticut River(コネチカット川)や小高い丘が見える長閑な風景となった。

Bellows Falls, VT 17:15(17:00)着。
Clavemont, NH 17:45(17:23)着。駅舎はないので街中風景のみ。これは踏切を通過中の一枚なのだが、Amtrakは踏切の手前で必ず警笛を鳴らし、これが結構五月蝿い。コネチカット川が近くなり、もうかなり近くまで来ているようだ。
WNM, VT 17:55(17:35)着。後半ちょっと遅れたが無事到着。降りる際に昼飯を買ったカフェの係員にTipを渡して写真を撮った。北へ走り去るVermonter。
WNMに着いたら日暮れ近かった。降りたのは僕一人だ。ホームも改札もなく線路沿いの建物が駅かと思ったけど改札口がないもんだから、その脇を通って前へ出たら駅前通りらしい広場になっていた。Inn*3のオーナから、駅のレストランで食事してから来いと言われていたが、それらしき建物や表示もない、本当に単なる広場なんだが、良くみたらこの建物がレストランであった。
パスタとビールを頼み一人で夕食となったが、昔の駅舎を改装したレストランは、ウッディーな天井が高いシックな内装で、JAZZなんかが流れている落ち着いた雰囲気だった。
食事が終わり$18.95を払ったら、Innに来た日本人だろう、電話してやるからちょっと待ってなさい、とレジのお姉さんに言われて驚いた。既に手配書が廻っているらしい(笑)。食事の前か途中で言って欲しかったなあとか思っていたら、180cm、80kgはあろうかと思われるがっしりした男性が現れ、挨拶もそこそこに、僕は、Paul(ポール)*4が運転する白のトヨタHIGHLANDER(日本名:KLUGER)の前右席に乗り込み(トヨタの車だけど米国製だから当然左ハンドル)、彼のInnへ連れて行ってもらった。WNMからInnまでは車で10分くらいの目と鼻の先程に近いんだけど、WNMのVTからInnのある東隣のNHへ州を越えるんだ。両州の境が北から南へ流れるコネチカット川で、そこに架かっているのがCovered Bridge(屋根付橋)としては全米最長のThe Cornish-Windsor Bridge、そう、映画『THE BRIDGES OF MADISON COUNTY(マディソン郡の橋)』のモデルになった橋だよ。この日は通過しただけだった。
橋を越え右折してポツンポツンと住宅が建つ本当に森の中の道を通り20時頃にInnへ到着した。出発前に予約ページを確認したら、週末は満室だけど僕が泊まる2日間は他に予約がなかったのだが、その後予約が入ったらしく、他の部屋から明かりが漏れていた。奥さんのTerry(テリー)には明日紹介するねって言われて部屋に案内された。本日はこれまで。取り敢えずコーニッシュへ辿り着いた。僕はこのInnをネットで見つけ、1階に2部屋、2階に6部屋あることくらいしか知らないうちにもう決めていたんだけど、使うのは裏庭が望める2階の1泊$150の部屋で8畳くらいの広さだ。隣に洗面、トイレ、シャワーが付いていた*5。
この日は、21時くらいに休んだ。無事にここまで辿り着けた安堵感とこれまでの疲労が一気に出た感じで、とても熟睡できた。
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*1:ニュー・イングランド地方ってのは、米国北東部のカナダとの国境に位置するMaine(ME)、New Hampshire(NH)、Vermont(VT)、Massachusetts(MA)、Rhode Island(RI)、Connecticut(CT)の6州を含み古い歴史を誇る。The Ivy League(アイビー・リーグ)と呼ばれる名門大学が集まりアカデミックな雰囲気が漂う魅力的な街が多く、ヨーロッパ的な造りの建物が多いのも特徴的。沿岸漁業も盛んだが冬は氷点下まで気温が下がり寒さが厳しいそうだ。
*2:Amtrakをサイトで予約する時は、予めメンバー登録を行う必要があるんだけど、電話や窓口で購入するよりも安心かつ確実だと思う。あと、スケジュール作成に便利で雑誌としても面白い『Amtrak America(路線と都市のガイド、全53頁)』『amtrak system timetable(全米時刻表、全128頁)』を無料で送ってくれるんだけど、4日で届いたのにはビックリしたなあ。こっちもお勧めだ。
*3:大きな施設は"Hotel"だけど、こぢんまりとした個人経営のものは"Inn"って言う処が多いみたい。日本的には「民宿」「ペンション」って感じかな。大概はBed(宿泊)とBreakfast(朝食)込みの料金表示のため、"B & B"とも呼ばれている。ランチやディナーは、通常なし。
*4:米国では握手した瞬間にとにかくナニカ会話していないとお互い不安になってしまう、少なくても敵ではないということを感じさせる必要があるみたいな雰囲気があり、その場合には"You"よりもファースト・ネームやニック・ネーム(メル友ならHNでもいいけど)で呼び合う方が効果的だそうだ。
*5:目覚まし兼用のラジオはあったが、TVはなかった。本当のカントリー・ライフが味わいたいなら、やっぱりこう言う処に泊まらないとだめだね。枕もとには聖書ではなく(聖書はチェストの引き出しに入っていた)、こんな本が置いてあった。Abraham Lincoln(リンカーン大統領)の側近の一人で同名の有名な銀行の創設者でもあるSalmon P. Chase(サルモン・P・チェース)の伝記だが、彼がここを建てたらしい。