Day 8(Saturday, Oct. 9th, 2004)
"My Pastime"休息日
- Columbus 第2日目 -
OHってのはアメリカ・インディアンの言葉で「美しい河」とのこと。1669年にフランスの探検家La Salle(ラ・サール)が発見し、1783年にアメリカ領に編入され、1803年に17番目の州になった。Columbus(コロンバス)は、OHの中で一番人口が多く日本人も大勢住んでいるので邦人子女の学校や和食レストランもあり生活しやすい街だそうだ。車の生産台数が全米2位で近郊には関連工場も多く、この地にあるホンダは日本の自動車メーカーとして初めて米国に進出したものだし、Goodyearの本社も同じOHにある。車と言えば、米国のライセンス・プレートには州名の下にその州のキャッチ・フレーズみたいな文句が付けられ、OHでは"BIRTHPLACE OF AVIATION(航空発祥の地)"って書いてあるけど、これはWilbur(ウィルバー)とOrville(オービル)のWright(ライト)兄弟が州内のDayton(デイトン)*1出身だったことに由るのだそうだ。
<-OHのライセンス・プレート
そう言うことで、今日の予定は、ワイ氏の案内によるデイトンへのドライブだが、その前に給油*2。
一路、OH(州道)-161、I(国道)-270、I-70、OH-4で西へ向かう。州道と言えども片道3車線だし、国道は所謂Free-Wayだから快適だ。しかし、天気が良くない。
その後、下道のHarshman Rd、Springfield Pikeへ降りてWright-Patterson AFB(ライト・パターソン空軍基地)にある世界最大かつ最古の軍用機博物館であるU.S Air Force Museum(米国空軍博物館)*3へ到着した。
1時間チョイで無事到着。広大な敷地の中に、メインの建物と飛行機を格納しているカマボコ型の展示場6棟が見える。ライト兄弟から宇宙計画に至る航空の歴史が時代毎に展示されているのだが、本物の持つ圧倒的な迫力にはただただ参りましたと言うしかない。余りに広い建物でフラッシュが利かずまともな写真が少なかったのは残念だった。取り敢えずB2爆撃機の凄さの雰囲気は伝わるだろう。
昼になったので、本館の最上階("located on the second floor of the Museum"とパンフにあるが、1階の天井がものすごく高いので、実施には3,4階って感じなのだ)にあるカフェ・テリアThe Valkyrie Cafeで休憩した。二人分のチーズ・バーガとチキン・ナゲットとコーヒーで$9.41だったが、コーヒーはお代わり自由なのでたっぷり頂いた。"Sack lunches cannot be accommodated in the Museum building."ってのを知らずにカップを持ってショップをウロウロしていたら、警備員に注意されてしまった。
本当に飛行機好きなら1日居ても飽きないだろうが、余りの広さににも関わらず夢中になって歩いたもんだからすっかり疲れてしまった。一通り廻ったので、次なる目的地のThe Dayton Art Institute(デイトン美術館)へ向かった。地方にありながら米国でもかなり有名な美術館だそうで、Harshman RdからOH-4、I-70を使って南へ進んだ。
西洋絵画や彫像に限らず、アジア関係の美術品も結構揃っていた。中でも、浮世絵(もちろん、本物)が展示されていたのにはびっくりした。安藤広重の1834年作『NIGHT SNOW AT KAMBARA(蒲原)』は、東海道五十三次シリーズの切手を持っているのでナマを見られたのは嬉しかったね。ボストン美術館は見れなかったけど、これだけで十分満足した。そして、Andy Warhol(アンディ・ウォーホル)の1976年作『RUSSELL MEANS FROM THE AMERICAN INDIAN SERIES』があった。アメリカン・ポップ・アーチストの代表作の一つだが、やっぱり現物は凄い*4。
博物館と美術館巡りを楽しみ、デイトンのダウン・タウンを背後にして帰路についたが、天気もなんとか持ち直してくれたのは助かった。ところで、州道とか国道の路肩には、次の出口とか隣の街までの距離とかなどのドライブ・ガイドが用意されているが、それ以外にも、McDとかKFCまでどれくらいだなんて標識が出ていたのには笑ってしまった。ガソリン・スタンドの標識もあったが、それは重要だから理解できるけど、バーガー食えなくたって運転には支障なかろうと思うのは日本人だからなのかしらん?
コロンバスへ戻ったが、夕食にはチト早いと言う事で近くを案内してもらった。その途中で信号停車したら、左前方の車のサイド・ウインドゥに妙な張り紙を発見(笑)。結構こういうのが走っているらしい。96年式(8年乗った)ミニ・バンが$5,500(60万円強)ってのは日本では考えられないが米国ではそんなもんらしい。
コロンバスのお屋敷街だと説明してくれた地域で、道路から家までの距離が長く、しっかり塀で囲まれ、遠目にも高そうな屋敷が点在していた。こう言った家の子女と仲良くして一度は訪問してみたいとワイ氏が言っていたが、さぞかし立派なことだろう。
最後に、The Hoover Dam(フーバー・ダム)へ行ったが、1936年に完成したNevadaとArizona両州に渡るColorado Riverの大ダムとは同名だが別物だ。この日は、高校のボート・レースが行われていたようで、若者達で賑わっていた。暫し休憩の後に帰宅した。今日一日がんばってくれたワイ氏のホンダ・オデッセイ君である。
そうそう、米国では次期大統領選挙の真っ最中で、新聞、TVなんかはトップ・ニュース扱いだったが、米国の市民の中には自分の支持する候補者を堂々と表明する人が居て、自宅前にこんなプラカードを出していたけど、この辺へはちょっぴりBush & Cheneyがリードしていたような感じだった。<- 11月2日の大統領選挙は、三大激戦区と言われたフロリダとペンシルべニアをブッシュとケリーが分け合い、最後のオハイオで決着した格好となったが、コロンバスに滞在中の感想の通りになってしまった。
こうして、米国最後の夜も更けたのだった。「やっぱり“魚沼産コシヒカリ*5”だよな〜」とか言いながら奥さんの手料理に舌鼓を打ちつつ、この日のために用意してくれていたChivas Regalを飲ませて貰った(感謝)。こっちに来てから食事の不便は感じていなかったけど、コメのチカラは凄くて元気になれる。この晩、ワイ氏とコメは旧友のように僕を励まし、お腹一杯アルコール十分のお陰もあって本当にリラックスすることができた。夜も更けると気温もかなり低くなって、日本の11月くらいの感じがした。
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*1:デイトン市内には、兄弟の実家の自転車屋の跡が残っているそうだ。1903年12月17日、ライト兄弟が世界で初めて人間の操縦による動力付き飛行機で12秒間、36.6mを飛行したのは、地元OHではなくNorth Carolina州(NC)Kitty Hawk(キティ・ホーク)で、NCのライセンス・プレートには"First in Flight(初飛行)"とプリントされている(笑)。そうそう、米国海軍の空母キティ・ホークってのはここに由来している。
NCのはこんな感じ->
*2:米国ではセルフが当たり前。ドライバーは自分で窓や車体なんかを拭いたり、併設されている店で買い物をするんだ。店には食料品やカー・グッズなんかをスーパー並に揃えており、最近の流行(はやり)は、平板マグネット式のリボンがデザインされたイラク派遣兵士への支持メッセージがプリントされている奴だそうだ。そう言えばリヤに貼っている車を沢山(3〜4割?)見かけた。嵩張らないので土産に1個を$5で購入。
*3:国務省の施設なのだが入場料は取っていない。METやAMNHでは寄付と言う形態であるにせよ半ば自動的に徴収されるシステムであったのとは対極に位置するのだが、ここは政府による国民啓蒙施策なのだろう。子供のうちに刺激を受けて刷り込まれることで、"America is strong"とか"Freedom is not Free"をモチベートしているのだ。大人が見ても感動してしまうくらいだから、幼い時期から接すればりっぱな愛国主義者となるに違いない。
*4:METでもそうだが、近代の米国絵画は余り感動を受けないものの、現代アートはドイドキするものが多いと思う。その代表者がウォーホルだろう、1950年代のBlue Noteのレコード・ジャケットのデザイン、61年の『CAMPBELL's SOUP CAN』、67年の『MARIRINE MONROW』、70年大阪万博の『FLOWER』、83年の『LOVE』などは有名だけどそれら以外だって素敵だし、愛読書の一つである『DRAWINGS AND ILLUSTRATIONS OFTHE 1950s』は、疲れた時にペラペラ捲ると気分が甦ってくるように楽しくなる本だ。40年代から80年代の作品の殆どを所蔵しているPittsburgh(ピッツバーグ)のThe Andy Warhol Museum(アンディ・ウォーホル記念館)へ行って見たいと思っている。
*5:コシヒカリの優れた特徴は、冷えてもなお美味しいってことだ。普通に食べるには4,000-5,000円/10kgのコシヒカリに比べて$20-30/10kgと手頃な値段のカリフォルニア米もそこそこ甘味があって不満はないが、ランチとして持って行くと差がはっきり分かるそうだ。これには同じジャポニカ種である「秋田こまち」や「山形ひとめぼれ」も敵わない。それにしても「南魚沼市」は知恵(脳)がないと思う。せめて「雪国市」にして欲しかったなぁ(部外者の独り言)。