3
「ここ来んの、久しぶりだ……」
「そうかぁ?」
「お。真矢見ーっけ」
「見っけってより見つかった方じゃねぇ?」
「ん、そうとも言う」
俺がいつもみたいに声上げて笑えば、SUGIの顔も少し和む。
だから、俺はいつもそうしてきた。
「真矢さぁ、最近ここに来ること多くない? そう聞いたんだけど」
「うん、なんかね」
「なんとなく?」
「うん」
「ふぅん……」
事務所からそう遠くない場所にある、小さな神社。
最近、ここが俺のお気に入りの場所。
ほんとに小さくて、祠なんて御神体があるのかどうかすら怪しいくらい小さい。
だけど、これも小さいもののちゃんと鳥居があって、20歩分もないくらいの参道はちゃんと石畳で。
敷地いっぱいに枝を広げる樹はきっと、最初は申し訳程度に植えられたものだったんだろう。
それでも、ここはちゃんと空気が違う。
「こういうさぁ、神域ってーの? 聖域とか、そういう場所ってやっぱ空気違うよな」
不意に落とされたSUGIZOの言葉。
同じことを感じたんだと思ったら、なぜか妙に嬉しかった。
「真矢ぁ」
「んぁ?」
間の抜けた返事をしたら、SUGIZOは瞬きもせずに俺を見て、それから。
「俺ね、お前のこと好きよ?」
「……また唐突な愛のコクハクだな」
「唐突かな。いつも思ってるけど」
「そりゃどーも」
「だって俺さぁ」
じーっと俺を見てた瞳が、一瞬だけ瞼の向こうに隠れて。
「真矢が幸せそうな顔してると、すげぇ嬉しいんだもん」
そう言って、はにかんだように笑うSUGIZOを見て。
SUGIZOのその笑顔が好きなんだと、初めて自覚した。
「……俺もね」
「んー?」
木陰から少しだけはみ出た場所で、両手を天に伸ばして空を仰ぐSUGIZOに、言ってやる。
「お前が笑ってんの見るのは好きだよ」
「……そりゃどーも」
さっきの俺のセリフをそのまま繰り返して、SUGIZOはもう一度、笑った。
その笑顔を見たくて、だから俺はずっと。
自分の調子が悪くてもなんでも、SUGIZOの前で笑ってきたんだ。
SUGIZOに、笑っていてほしくて。
だから、俺がSUGIZOの笑顔を好きなのは当たり前。
本当に幸せな気分になってる時じゃないと、SUGIZOは笑わないから。
どうか、その笑顔が少しでも長く続くように。
小さな小さな賽銭箱に小銭入れの中身を全部ぶちまけて、そんなことを願った。
「なんでそんなにいっぱい入れるんだよ、欲張りだなぁ」
そう言ったSUGIZOはやっぱり、笑った。