なぜおまえだけが死なないで、おれたち人間はみなしんでいくんだ。どうして不公平なんだっ。
不公平ですって?あなた方は何が望みなの?死なない力?それとも生きてる幸福がほしいの?
おれにゃわからねぇ!だかおまえくらい死ななけりゃ幸福だろう。
ナギ、足もとをごらん。虫がいるわね。それも生きてるわ。たった半年ぐらいしか生きていないのよ。カゲロウはもっと短いわ。親になってもたった三日の命よ。それでも不平はいいませんよ。虫たちは自然が決めた一生のあいだ、ちゃんと育ち、食べ、恋をし卵を産んで満足して死んでいくのよ。人間は虫よりも魚よりも犬や猫や猿よりも長生きだわ。その一生のあいだに・・・・・・・、生きている喜びを見つけられればそれがこうふくじゃないの?

『火の鳥』手塚治虫より、

火の鳥と自国を滅ぼされてしまった。少年ナギとの会話の一部ですが、
火の鳥はいわゆる不死鳥、永遠の命を持っている者の象徴で、浄土真宗においての御本尊である阿弥陀如来と似ているように感じます。阿弥陀はインドの言葉サンスクリット語でアミター意味は無量なる命、測り知れない命、です。

英語で言うとアンメジャー、測るというメジャーに否定語のアンがついています。

なかなか自分の命の生きる喜びを感じられる、生きる喜びを見つけるということは難しい、
生きる喜びの真っ最中にいてもそれに気がつかない。
そんな日常生活を送っているわたしたち、
手塚治虫先生の作品を読み返してみるのはいかがでしょうか?