うすあかるい日々
私の在宅介護体験談は、突然にそれを要求されたことにおいては一般の方と全く変わりの無いものです。

しかし、少し毛色が違うといえば、それ以前に介護職員であったことでしょうか?
今思えば、20代前半のあの仕事というものは厳しいものではありましたが、非常に恵まれていたと感謝しています。
老人ではなく、重度身体障害者の方々の入所施設であったこと、施設での介護以外の介護を知らなかったことが後々、反省点として自分にのしかかり、また克服には様々な体験者の助言をいただきました。それは私の場合、介護家族の方々・介護を生業とするプロの方々双方からの貴重なものです。

一般論としては、こういったことには是非とも地域の組織を活用してください。同じ在宅介護経験をもつ人同士で気持ちが通じ合うこと、そして「三人寄れば文殊の智慧」と申します。体験者の数だけ、何かといい提案があると思います。また、直接の利害関係のない人に話したほうが同じ問題でも良い答えを得られることが多いのです。
そして介護技術的に困ったことを日頃安心して相談できるプロを見つけてください。それぞれの家庭の事情や介護者の考えをより理解してもらうことがとても重要になってきます。人間の良し悪しとは別に「相性の合わない」ことも生じてしまうと思います。長いお付き合いになる場合、なるべくはスムーズにお話のできる方を確保して、その方との人間関係を大切にされてください。

私個人の場合、祖母の往診をしてくださった先生、先生からご紹介いただいた訪問看護士の方々、そして祖母の入院を通じてお会いすることになった病院の医療ケースワーカー、系列の老人保健施設のケアマネージャーの方に出会ったことが大きな助けとなりました。
そして、たまたまでしたが地域で介護家族の集まりをされている方を通じて出会ったイタリア人の神父さまが「信教とは関わりなく」何かと相談にのってくださったことも大きかったです。その神父さまも、別の神父さまを介護されながら生活されており、辛い思いをどこかで分かち合いながらも『人生の先輩として』お付き合いくださいました。
また、私にとっては義理の弟になりました「妹の彼氏」の助けも大きかったです。お母様が義父・義母に当たる方を在宅で看取られたそうで、苦労を見て育っているだけに、普通の男性では思いやってもらいにくいところまで助けてもらいました。

今思うと、大変に感慨深いものがあります。

そのはじまり 通院だけで
それが我が身に我が家に パニックの日
父方祖父の逝去 周囲の無理解のはじまり
地域の閉鎖性 ドクターストップ

Fonts:"Sirona"typOasis
(c)Asha's Graphics Garden 2000 All Rights Reserved